フリーランスモデルに伝えたい! やってない? モデル生命を脅かす2つの盲点

高橋睦実の「モデルバイブル」

外国人モデル事務所「株式会社フリー・ウエイブ」代表・高橋睦実の、モデルとして成功するための「モデルバイブル」。

前回は、「競合・ダブルブッキング・仕事も選べる? 専属モデルを目指す理由4点!」をお伝えしました。

泣いているビジネスマンのイラスト
Casting

フリーランスは、
競合管理ができているかわからないから、仕事を頼めない!
全員専属にしてほしい!

前回の記事では、こんなキャスティング会社の人の声を紹介しましたが、フリーランスのモデルが起用されにくい理由は、競合管理だけではありません。

たとえば、ストックフォトに出ていたり、知らずにイメージが偏るような仕事をしていたり……。

この業界は、経験がなければ、「え? こんなことが?」と思うような、なかなか見抜けない落とし穴があります。

今回は、そのなかなか見抜けない落とし穴について、代表的な例を説明します。
とくに、現在フリーランスでモデルをされている人や、フリーランスでの活動を考えている人は、仕事の幅を狭めたり、チャンスを失ってしまう前に、ぜひ参考にしてください。

①フリーランスモデルの盲点「ストックフォトやフリー素材」

フリーモデルの一番の盲点といえば、ストックフォトです。

ストックフォトとは、インターネット上で配布されている素材用の写真です。
この「モデルバイブル」でも使用していますし、世界中の企業やブロガーも多用しています。

このストックフォト、趣味で写真を提供してしまう人がいます。
仕事の場合でも、そこそこ魅力的なギャランティのため、引き受けてしまう人もいます。
また、モデルになりたい人たちの中では、「ストックフォト用の被写体になってほしい」というカメラマンの誘いに、気軽に応じてしまう人もいるようです。

いったい、これの何が問題なのでしょうか?

ストックフォトは、基本的に著作権フリーであることが多く、有料無料に関わらず、どこに、何の目的で使用されたかは、自分では把握できません。

たとえば、自動車メーカーAが、広告に自分の映ったストックフォトの写真を使用したとします。
その後、それを知らずに「競合あり」の自動車メーカーBの広告に出てしまった場合、どうなるでしょう。

残念ながら、知らなかったとしても、競合違反となり、大問題になります。

ストックフォトに出てしまうと、この可能性がつねにつきまといます。
ストックフォト自体がインターネット上のサービスなので、いちど公開されてしまえば、誰がどのように使用するかわからず、その可能性はほぼ永久です。

フリーランスモデルの盲点「ストックフォトやフリー素材のイメージ図

フリーモデルの中には、このような事情を知らずに、ストックフォトの仕事を引き受けている人も多く、さらには、時間が経って忘れてしまっている人もいます。
キャスティング会社や制作会社は、そういった恐れがあるので、フリーランスのモデルには「競合あり」の仕事が依頼できないのです。

もちろん、必ずしも「フリーランスだからストックフォトをやっている」というわけではありませんが、すこしでも可能性があれば、慎重にならざるを得ません。

通常、モデル事務所では、競合管理を慎重に行っています。
まともな事務所であれば、ストックフォトについても留意しています。
そのため、キャスティング会社は、モデル事務所を通して仕事を依頼することが、通例となっているのです。

参考記事:
競合・ダブルブッキング・プロモーション? 専属モデルを目指す理由4点!

 

「競合あり」の仕事はモデルにとっての大切な可能性

「競合ありの仕事が受けられなくなることって、それほど大きな問題なの?」
そう思う方もいるかもしれません。

競合のある仕事の中には、
広告のメインを飾るような、いわゆる大きな仕事があります。

つまり、「競合あり」の仕事とは、その後のモデル人生を華々しく発展させていけるかもしれない、大切な可能性です。

しかし、ストックフォトに出てしまうと、もう二度と、そういった仕事を受けることができなくなるのです。

ストックフォトに出てしまうことは、
プロのモデルとしての生命を、絶たれたといっても過言ではありません。

どうか安易な気持ちで、被写体の提供をしないようにしてください。

モデル事務所に所属していても、ストックフォトには注意して!

モデル事務所に所属していても、ストックフォトには注意して! イメージ図

先にも触れましたが、まともなモデル事務所に所属していれば、決してストックフォトに被写体提供することはありません。

しかしなんと、残念なことに、とあるモデル事務所で、ストックフォトの仕事を受けた実例もありました。

問題なのは、事務所がモデルに対して、一切説明していなかったということです。
モデルは「競合あり」の仕事が一生涯できなくなるなんて、夢にも思ってなかったでしょう。

これは、モデルの人生をまったく考えていない、あまりに酷すぎる話です。
同じモデル事務所として、許しがたいことです。

また、気をつけなければならないのは、一見、ストックフォトの依頼とはわからない撮影依頼です。
「使用媒体や使用期間が未定だけど、とりあえず撮影したい」
こんな依頼を受けて、あとになってストックフォトに使われてしまった、というケースもありました。

仕事を受ける前に確認すべきこと

・スポンサー名
・商品名
・用途、目的
・使用媒体
・使用期間

フリーランスでも、事務所に所属していても、仕事を受ける際は、必ずこれらを確認してください。
どれも曖昧ではいけません。
はっきりとわかってから、話を進めるようにしてください。

仕事の信用度を測るばかりではなく、これらの情報があれば、無断使用などの契約違反を確認できるようになります。

ワンポイント高橋

信頼できる事務所に入ることはもちろんですが、
自分でも正しい知識を持つように心がけましょう!

②フリーランスモデルの盲点「アダルト関係・露出の多い撮影」

2つめは、アダルト関係や、露出の多い仕事についてです。
これも「知らずに関わっていた」という場合もあるので、十分な注意が必要です。

アダルトビデオやポルノビデオの作品

アダルトビデオやポルノビデオの作品

まずアダルト関係ですが、AV(アダルトビデオ・ポルノビデオ)に出演してしまった場合、その後、広告の仕事はできなくなるといっても過言ではありません。

特殊なケースでは、前歴を隠さず、それを売りにしてタレントとして活躍する人もいますが、一般的にモデルとして活動したいなら、絶対に出演してはいけません。
もしも、そういった前歴で売り出すとしても、仕事の幅は狭まってしまいます。

とくにCMなどの広告業界は、起用するモデルのイメージに慎重です。
教育業界の仕事はもちろん、大半の企業からの仕事は受けられなくなります。

ただ、これにも盲点があり、過去にはこんなケースがありました。
端役で出演した作品が、実は年齢指定のある作品だった、というものです。

そのモデルはAVではないと思って出演したのですが、クライアントは、普段はAVを制作していて、その映像も、性的なものをイメージさせるように編集されてしまいました。

たとえ自分ではそんなつもりがなかったとしても、経歴にはその作品が入ってしまえば、どんな役かは関係ありません。
「説明を受けていなかった」、「知らなかった」と言っても、世の中に出回ってしまえば、取り返しがつかないのです。

フリーモデルは、後ろ盾もなく、業界に精通していない限りは、こういった危険性を見抜くことが難しいかもしれません。
仕事を受ける前に、きちんと企業や作品、契約内容を把握しましょう。

また、アダルト関連グッズの広告に写真を使われてしまった場合も、同じです。
①のストックフォトは、競合問題だけではなく、そういった危険性も潜んでいます。

参考記事:
モデルや芸能人になりたい人へ! 安全な事務所の8つの見極め方

 

露出の多い格好

露出の多い格好のイメージ図

アダルト関係ではないにせよ、肌の露出が多い仕事も、場合によっては仕事の幅が狭まることがあります。

肌を見せる仕事の代表的なものとして、モード系ファッションや、下着メーカーの仕事があります。
これらの仕事は、モデルにとっては、とても華やかなものです。
下着メーカーのモデルは、むしろクリーンなイメージさえあります。

しかし、そういった雰囲気ではなく、いわゆるセクシーな水着や下着姿を披露するものは、イメージが定着してしまうため、業界によってはNGになってしまう場合があるのです。

実際のケースでは、教育関係の広告に出ていたモデルが、後に別のCMに半裸で出演したことで、教育関係のクライアントから強いお叱りを受けたことがありました。
セクシーとはいえ、コミカルな役でしたが、やはり「子どもたちが見たらどう感じるか?」という視点で考えると、イメージにそぐわないものです。

何をしたら、何ができないのか。
これまでのキャリアと、今後のキャリア、両方から考えて、仕事を選ばなければいけません。

芸能・広告業界は豊富な経験がないとフリーは怖い

以上、フリーランスモデルに気をつけてほしい、代表的な2つの盲点について説明しました。

モデルは、素敵な作品の一部になれる、とっても夢のある職業です。
TVや街中など、公に顔が出る仕事ですから、有名になって、ファンもできるかもしれません。

しかし、そのために、いちど公になってしまえば取り返しがつかず、いとも簡単にモデル生命を絶たれる可能性や、人生に大きな影響を及ぼす危険も潜んでいます。

モデル事務所は、つねにそういった危険性も考えて、仕事を吟味します。

わたしたちがたびたび主張する「豊富な経験と知識」とは、決して、単純に「多いから偉い」というものではありません。
モデル事務所が持つ「経験と知識」とは、クライアントや仕事の安全性、信頼性を見抜く力です。

「このクライアントは本当に信じられるか?」
「この仕事を受けて大丈夫か?」

そういったことを考えて、モデルたちを守る努力をしています。

昨今、フリーランスのモデルが増えてきた一方で、トラブルをよく耳にします。
今は大丈夫だと思っても、あとになって大きな影響を及ぼしてしまうこともあるのです。
どうか将来の可能性を守るためにも、十分に気をつけてくださいね。

次回は、今回紹介しきれなかった、実際にフリーランスのモデルが経験したトラブルをご紹介します。

高橋 睦実(Mutsumi Takahashi)

株式会社フリー・ウエイブ代表。茨城県・水戸市生まれ。1989年アメリカ法人「スター・ダンス・コネクション」日本事務局代表に就任。1992年、外国人ダンサーやモデルをマネージメントする有限会社フリー・ウエイブを立ち上げ、2003年に株式会社に改組。業界屈指の大規模外国人モデル事務所になる。趣味はジャズを歌うこと。猫好きで動物愛護団体への協力もしている。

President of Free Wave Co., Ltd.
Born in Mito, Japan. In 1989, appointed as the Head of Japan office of Star Dance Connection. Established Free Wave Co., Ltd. which represents and manages international dancers and models later becoming one of the top international model agencies in Japan. She likes jazz and cats. She is also working towards saving animals from cruel treatments